ふと、今は妻となり子を産んでくれた女の兄の所へ寄った。砂浜が白く光るように太陽を反射している。地名のとおりだ、と笑いながら山に分け入る。
程なくして小さな集落へたどりつくが、それこそ彼の織田信長が恐れた雑賀一族の長のすむ集落であった。小さな子が駆け回っているのをにこにこ笑いながら見つめていたら、不意に背筋に寒気が走る。
突ッ立っていた場所に銃痕が残った。くびを捻ればそこには懐かしい顔。
蛍は息災か
いつも銃抱えてこの身体にあてようとしよるわ
あっはっは、あいつらしすぎて笑えてくる。まぁ酒でも引っ掛けていけ。お前には積もる話もある。
そういって小屋へと消えていった。男も喜んで着いていく。
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