「留さーん」
むこうから走ってくる荷物の山はぐらぐらとゆれていてあぶなっかしいこと。
思わず駆け寄ってかるく跳躍してその荷物を二、三奪い取る。
「あ、ありがとう助かった」
「何をこんなにもってきたん?」
「あのね、今度の美術科展で、僕、インスタレーションでもやってみるかなぁと思って」
「ほほぅ」
確かに彼が持ってきたのはインスタレーションのアーティストの本だったり、その模倣した模型だったり、
はたまた靴やら靴下やらそういう生活用品。
留三郎とて毎回毎回木彫やら石彫をしていて、そろそろテラコッタにでも手をだすかな、と思っていたところである。
「よっしゃ、俺もそれやろう」
「え、マジで?」
「でも俺はテラコッタでやるもんねー」
「えぇっ、手伝ってくれるんとちゃうのん!」
「まぁ、間に合わなくなったら手伝うわ」
「ひどっ」
彼等は美術科。
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