――ザザッ
「もしもし、フラッシュ?」
「あいよ、感度良好ー」
「いまどのあたりよ」
「あーっと、アーケード街つっきったさきのカフェレストラン」
「…似合わないねぇ」
「うっせ」
ケータイで喋りながら隣の兄達を見上げると、メタルはなにやらエアーと喋っている。
とりあえずクイックにもメールをしておこう。今はレースの真っ只中かもしれないが。
「あ、目標移動」
「いやもう普通にブルースでいいし」
「そういうのの雰囲気に浸ってみたかったんだよ!んじゃ後で」
「ほいほーい」
今頃ウッドあたりがヒートに手伝ってもらってみんなの晩御飯の用意をしているところだろう。
儀体ではあるがいちおうヒューマノイド用の食事でなく、博士と同じものを食べて消化しているので、
皆で食卓を囲むことを常としている。晩飯当番は毎日ルーレットで決まるが皆それなりに作れる。
一番上手なのがウッドとフラッシュである。
ウッドはアジアン系、フラッシュは和食系である。意外なことに。
今日の晩飯は何かナァと物思いに耽っていると、メタルがこちらに眼を向けた。
「どうした、いくぞバブル」
「ほいほーい」
商店街のおばさんたちの黄色い声がふりかかるのはいつものこと、ニューハーフのおじさんまで色目をつかってくるけれど、それはいつも丁重にお断りしてるし、皆それぞれ発散させるには人間とちがっていろいろあるんだ。
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