男はただひたすらに笑いながら少年を迎えた。少年はただ必死に彼に会いに来た。
すべては、あの日、あの時にであってしまったことが発端だった。
「君を、」
「倒しに来たか。うれしいな」
まぁそんなに悲しそうな面をするもんじゃない。男はそういって少年に近づいた。少年は
堅い顔を崩さない。その瞳には辛いという感情が見え隠れし、だがそれを必死に覆い隠
そうとしていた。
「情に流されるな」
「……」
「お前は俺達を倒すのが使命、俺たちは博士の夢を叶えるのが使命だ」
ぶつかりあうのは当然のこと。言葉にせずとも意図は伝わったようで、少年はひくり、と
頬を歪ませた。やっとのことで、というのを絵に描いたかのように少年は笑った。
だがその笑みには何もかもをかなぐり捨てようと必死に努力する姿勢を感じ、男はふと
笑った。この少年の、その真っ直ぐさに、嗤った。
「メタルにエアー、バブルときて、俺を壊しに来たくせに何を今更憂うことがあるんだ?」
さっさとやりあおうじゃないか。あの日のことは忘れてよぉ!
マシンガン型のバスターをガシャコン、といわせて男は怒鳴る。自分はおそらく倒される。
判っていながらも、それを悲しんでくれる少年が優しいことに腹が立つ。
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