イゾウたちの面白いにも程のある格好を見届けたあと、白ひげ達は祭りの準備を手伝うべく上陸した隊をそれぞれの役割のところに振り分けた。島全体の見張り役と、祭りに関する下っ端の手伝いをあっというまに片付けていく。
ブレンハイムとジョズは身体がでかいので重い資材を楽々運んだし、その部下は代わりに何か補給になるものはないかと島長の家内にかけあって、それなら近くの畑とか果樹園から何かさがせばいいよと言われたのでそちらに向かっている。
その光景を穏やかな視線で眺めながら酒を飲んでいた白ひげに、ビスタが少し難しい顔をして近づいてきた。案の定ビスタはオヤジちょっといいか、別に報告するに当たらないような内容だが、と断りを入れてくる。周囲に居た古参の部下が俺たちは居ない方がいいか、という視線を投げてきたが白ひげは構わん、と手を振った。
「島の裏でこの島のものではなさそうな船が一隻見つかったんだが」
「サイズは」
「キャラベルより小さい」
「…」
「漁船という線もあるんだが、どうにも使い古した感じがしないんだ」
「…明日が祭ってのがネックだな」
一応イゾウにでんでん虫を持たせておいたから、それに連絡しておけ、と言う白ひげに、言われるまでもねぇ、とビスタはその場を辞する。古参の一人が、あー、マルコ狙いかもしれねぇのか、と呟く。それを受けて他の古参たちはあー・・・としたり顔だが、特に動こうとしない。なんだお前等、結局言うだけ言って動かねぇのか、と白ひげがつっこむのに対して彼等は一言。アンタが特に動く必要もないことなら若造達が終わらせちまうに違いねぇさ。
まったくその通りだったので白ひげは鼻で笑って祭りの準備の様子を酒場から眺め続けた。外はすでに夕日が美しい時間である。今頃は船のコックたちが島民と一緒になって飯の準備でもしているかなと思う。そして今回のこのごたごたは恐らくマルコ狙いだろう、イゾウとサッチが居るのだから特に問題はないだろう。
ここの酒はひどく甘く、そして辛口だった。
[2回]
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