さぁて、お仕事の時間だ。出てくる前に入れた新規のプログラムをいきなり
開き、実行をする。ここでフラッシュは一度、ぶつりと普段の意識が途切れる
ことになる。
敵陣から地上へ最初に現れたのは、何の変哲も無い斥候ロボであった。宙を
飛び、全体を把握しようとそのカメラアイを四方へ動かす。と、その目が一つ
の熱量を感知し、フレームが自動でその熱量へ動き、固定された。
その熱量の正体は青い機体。ワイリーの秘蔵のナンバーズの一人、フラッシ
ュマンであることを内蔵データから確認すると、地下にいる仲間へ警報を発信
する。DRN0014フラッシュマンを発見、ただちに戦闘開始戦闘隊形へ。
しかしそこから更なる詳しい情報は送られることがなかった。発信する前に
その機体の放つマシンガンによって破壊されたのである。何がおこったのかも
わからずに、斥候ロボは絶命した。
何がおきたのか。地下にいた先方部隊は一斉に警戒体勢に入る。こつん、こ
つんと階段を下りてくる音が聞こえるが、この地下は地上にある部分とは違っ
て入り組んだ構造になっているので階段自体を目測することができない。
一番階段に近いところで待機していた機体の一団とフラッシュマンとの戦闘
が始まったようだ。銃弾の発射される音と小さな爆発音が聞こえる。どうやら
煙幕をこちら側が張ったようだ。この地下の構造はこちらがわの者の方が詳し
い。故にカメラアイからの情報だけに頼らなければならないフラッシュマンを
とりかこんで滅多打ちにし、データを奪おうという算段なのだろう。
しかしそんな煙幕などまったく通用しなかったのか、瞬時に地下一階の階段
付近は制圧された。タイムストッパーを使っただけなのだが誰もそんな情報を
知るはずもない。当然だ。ワイリー博士はフラッシュマンとクイックマンに関
するデータだけは絶対に漏れない様にしていたのだから。
先方部隊の隊長はかく筈のない汗を感じて、無意識に額を拭う。それから次
々に指示を飛ばす。何をしている、廊下に潜伏しているものは奴を破壊してし
まえ。データは吸い上げでなんとかするから完膚なきまでに壊してしまっても
かまわん。破壊に成功したものは本部へ連絡し、階級と機体のグレードアップ
を約束しよう。
その言葉に、先方部隊の戦士たちは俄然士気をあげてフラッシュマンを倒そ
うとやっきになった。
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