現代ぱろっでぃ。
少年はその人の笑顔を忘れることができなかった。その、美しく、強気で、そしてむちゃくちゃにお転婆な彼女を。何時の事だったろう、その人とめぐり合ったのは。少年がまだその時は本当にクソ餓鬼と言われてもおかしくないような歳で、しかも駄菓子屋に数人の仲間達と屯していたのだ。
ガチャガチャで狙ったものが出なくて毎回毎回苦労していた思い出がある。
そしてそのガチャガチャには眼もくれずにまっしぐらに駄菓子へと進んでいったセーラー服の彼女を。
少年は彼女の名前など知らない。ただその時その一年間の間だけ駄菓子屋に姿を見せた彼女とその連れのでかい男が印象に残ってしかたなかったのである。
少年には兄弟がいて、兄が一人、妹が一人。彼女のそばで退屈そうに待っていたあの男は兄と被って無性にむかっ腹がたったのでよく覚えている。だが、彼女は違った。まるで自分の母親か姉のように自分達へ微笑みかけてくれたし、時には競争相手のように駄菓子をとりあった。そういうときには必ずあの男が彼女の首根っこをひっつかんで「お前なぁ、小学生相手に本気になるなよ」「うっせぇぇ、おれはいつでも全力だ!」と言って自分達を優先してくれていた気がする。
あれ、何か一瞬彼女の気品が落ちるような言葉が。あれ。あれれ?
今ではすでに青年となっている少年はやがて初恋の人であったろうセーラー服の彼女によく似た少年を見かけるのである。自分が教える小学校で。
本編とかにもまっっっったく出てこない少年を勝手に作り出してその少年視点のお話。
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